いよいよ銀行が仮想通貨に参入

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一時期のような仮想通貨フィーバー・過熱も落ち着きを見せ、下火になってきた感はありますが、一方で、銀行などの金融機関は、来るべきデジタル通貨時代を見据え、仮想通貨の分野に参入し、着々と準備を整えてきています。

本稿では、主な銀行による参入事例を紹介したいと思います。

三菱UFJフィナンシャル・グループ

日本人なら知らない人はいないだろうと思われるメガバンク、三菱UFJフィナンシャル・グループも仮想通貨業界に参入しています。

しかも三菱UFJは、かなり積極的に取り組んでいるようです。

今、最も勢いがあると言われる仮想通貨リップルの技術を利用し、日本とブラジルの国際送金システムを開発中です。

素早く送金ができ、なおかつ透明性が高く、不祥事が起きた原因の追跡もしやすいシステムの構築を目指しています。

そんな仮想通貨に積極的な三菱UFJは、独自の通貨coin(MUFGから改名)を開発しました。
コインの特徴はカード決済の約10倍もの処理速度で、毎秒100万件の高速処理が可能となっています。
ちなみにクレジットカードのVISA(ビザ)が1秒で数千件の処理能力です。

そして、”coin”は常に1コイン、1円の価値にするとしています。
いわゆる法定通貨と同じ価値を持つ「ペッグ通貨」とするようです。

こうした性質を持ったコインなので、他の仮想通貨のように値上がりを期待するものではありません。

日本政府が推し進めているキャッシュレス化の1つの答えがこのコインなのではないでしょうか。
coinを活用することでコスト削減ができ、加盟店の決済手数料を減らすこともできます。
現金を使用するより効率がいいということですね。

コインのウォレットは、簡単に作れるために同じ銀行の口座に、目的毎に分けて口座を作ることも容易になります。
お金の管理も以前よりも分かりやすくなりますし、家庭(ご夫婦)やサークルなどのグループでの管理も行いやすいです。
ブロックチェーンの技術が使えるのでP2P送金ができるため、あなたから友人に銀行を介さず送金をすることができるようになるため、早く送金ができ、コストも低く抑えられますよ。

三菱UFJ銀行は、独自の取引所を作ることも視野にいれています。
三菱UFJはコインの作成とコインを有効に使うためにアメリカの取引所コインベースと事業提携をしています。
今後の取引所設立に向けての準備を進めているようです。
こうした取り組みは既存の銀行の存在を脅かす動きになってしまうのですが、より合理的に運用するために生き残りをかけた試みと言えます。
手数料で収益を得る、というシステムも様変わりしそうですね。

みずほフィナンシャルグループ

みずほフィナンシャルグループは、ゆうちょと60行もの地方銀行と協力して、

「J-COIN」を開発しました。

J-COINの開発目的の1つに現金を使わないことでATMを減らしてコストの削減することができます。
およそ2兆円もの経費削減につながるようです。

他にもメリットは、クレジットカード会社が設定している2~5%の手数料より安くすませられることや、クレジットカードではないので審査の必要がないこと。
18歳以下の未成年でも利用が可能です。

中国「アリババ」のアリペイと提携していることやJコインウォレットから口座への手数料が無料という利点もあります。

Jコインはブロックチェーンの技術を利用しているので、使用した人の送金や決済の履歴をビッグデータとして収集します。
プライバシーに配慮し匿名データとして使用者のニーズの分析や新たな商品開発などに利用されます。
誰もが知っている有名銀行が発行した仮想通貨であるということを認識してもらい、その安全性を理解してもらう意味合いもあります。

Jコインも三菱UFJのコインと同じくスマホで決済ができ手数料が無料というよく似ている仕様だけに、覇権をかけた争いになりそうですね。各行とも、より便利さを追求していった結果、同じ結論にたどり着いたということのようですね。

ちなみに、Jコインについては、中央集権的要素が強く、厳密に言うと、「仮想通貨」ではなく、「デジタル通貨」ではないか、との指摘もあり、用語の使い方には注意が必要と思われます。→ ニュース記事

SBIホールディングス

SBIホールディングスは、子会社のSBIバーチャル・カレンシーズが2018年6月4日に仮想通貨の取引所“VCTRADE”のサービス提供を開始しました。
販売所でのビットコインのスプレッドは業界最安値の1.99%、他の取扱通貨も最安値です。
よい仮想通貨取引所の必須条件である、セキュリティの高さにも定評があります。

綜合警備保障で国内トップの実績を誇るセコムとの提携や国外企業との提携もしています。
SBIの北尾社長がリップルと事業提携をしていることもあって、仮想通貨の王者であるビットコインよりも先に、リップルが上場したという経緯がある販売所です。

現在の取り扱い通貨は、ビットコイン、リップル、ビットコインキャッシュ、イーサリアムと他の取引所より上場通貨は少なめではありますが、時価総額が上位の通貨ばかりを上場させているので、安定した利益が得られます。

自社取引所を保有しているSBIですが、自社通貨である「Sコイン」も開発しています。
Sコインはブロックチェーンの技術、分散型台帳を応用して、Sコインプラットフォームを築き実証実験を続けています。
既に、従業員においてSコインの実証実験もすませております。

国際送金はリップル(XRP)を使用して、国内の決済はSコインで、と言った使い分けも可能になってきます。
Sコインも三菱UFJのCoinやみずほのJ-COINと同じような役割となります。

番外編

番外編と銘打っていますが、ネット界の風雲児とも言える「楽天グループ」もネットバンクの楽天銀行を操業しています。

ネットならではのスマホ1つで残高確認や送金などができ使いやすいと好評です。
そんな楽天グループも仮想通貨業界に参入しました。

楽天グループは2018年8月31日に仮想通貨みなし業者、みんなのビットコイン全ての株式を2億6500万円で取得しました。
この買収の理由の1つに楽天銀行、証券を利用している数百万人ものユーザーから仮想通貨取引を楽しみたいという要望がありました。

楽天の三木谷社長も仮想通貨に肯定的でリップルを大量に保有しています。
楽天もコインの開発をしており、その名も「楽天コイン」。
ただ、楽天コインの使用方法は前述した3行とは異なるようです。

楽天コインを仮想通貨取引所の開設したユーザーにコインをプレゼントするといった、現在の楽天ポイントと同じような使い方のようです。
ポイントと同様と聞くとありきたりかと思いますが、その効果の程は皆さんも楽天ポイントで体感しているのではないでしょうか?
瞬く間にあらゆる買い物に楽天ポイントが付与され、楽天ポイントが貯まりやすいアプリ等の登場で、ポイント欲しさに積極的に楽天のサービスに登録をした方も多いのでは?
仮想通貨を知らず知らずのうちに使用しているなんてこともありえます。
こうした流れは仮想通貨業界の活性化にもつながると言えるでしょう。

更に楽天はモバイル事業も軌道にのっており、第4の携帯事業者としての地位も確立されつつあります。
スマホと仮想通貨取引所と楽天コインと全て自社で賄えるということは、コストの削減やポイントとしてのコインの付与、仮想通貨のアプリを開発すれば、スマホで全て完結しその便利さは計り知れません。

楽天グループが仮想通貨取引所の操業を始めた時には台風の目となるかもしれませんね。
2020年の東京オリンピックまでには、日本の貨幣に関する考え方が大きく変化していることでしょう。
先進国の中で現金使用率が異常に高い日本ですが、そんな流れも変化していきそうです。
古い制度が改正されていくことで、より便利な生活が私達にもたらされることを強く期待します。

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【参考】まもなく海外銀行口座開設の受付