
1.イーサリアムとは?(概略)
イーサリアムは2013年にカナダのエンジニア、Vitalik Buterin氏(ヴィタリック ブテリン)が19歳の時に発案し作られたアルトコインで、常に時価総額2位を維持し続けています。
主要通貨の1つといえるのがイーサリアムです。
他にもブテリン氏はブルームバーグ社の「世界に1番影響力を与えた50人」にも選ばれたり、他の仮想通貨のアドバイザーをしたりと幅広い活躍をしています。
イーサリアムは仮想通貨としてのイメージが大多数を占めていますが、実際は分散型プラットフォームの名前のことです。
分散型プラットフォームとは、契約情報やアプリ、ゲームなど様々なサービスを分散して管理することができるようになることで管理者がいなくてもサービスを展開できるプラットフォームのことを指します。
分散型プラットフォームは“DApps(ダップス)”とも呼ばれています。
既にダップスから数千種類ものアプリが誕生しています。
そのようなイーサリアムですが、仮想通貨につきものの、通貨発行上限がまだ決められていません。
ただし無限にイーサリアムを発行できるわけではなく、いつかは発行枚数の上限が決められることになるでしょう。
イーサリアムもビットコインと同じく、より多くの計算処理をし、最も早く解を出した人にマイニングの報酬を与えるProof of Work(Pow)方式を採用しています。
大量の電力を消費するので電気代の安い国でマイニングがおこなわれる傾向があります。
中国における電気代が安いので、これまでは中国での参入が多かったようです。(現在は中国当局の規制で撤退した人達が多いです)
イーサリアムの取引に係るブロックの生成時間は、僅か15秒で完成します。
ビットコインが10分かかるので、イーサリアムの生成時間の速さがお分かりになるかと思いま。
生成時間が短くできるため、送金手数料がそれだけ安くなります。
このことからイーサリアムは少額の決済に向いている仮想通貨と言えるでしょう。
2.イーサリアムの仕組み
イーサリアムの特徴を話すのに欠かすことのできない仕組みに“スマートコントラクト”が挙げられます。
スマートコントラクトとは、正確かつ自動で契約をおこなうシステムのことで、身近な例で例えると自動販売機が該当します。
自動販売機はお金を入れて商品を選択するという決まり事を実行すれば確実に商品を手にすることができます。
つまりスマートコントラクトの利点は、契約を機械的に行うことで、相手の偽の情報に騙されることがありません。
取引履歴は公開され、ブロックチェーン上に記録されるため契約そのものの透明性が高く信頼できる契約ということになります。
人の手を介さないのでコストが削減できるメリットもあり、今までの管理者が必要だったり、サーバーがパンクする恐れが懸念されていた中央集権のシステムではできなかった効率のよい非中央集権のシステムでアプリを開発、運用していくことが可能となりました。
今まで人手でおこなってきた作業もスマートコントラクトを応用すれば、様々な事象が自動で行えるようになるわけです。
スマートコントラクトは大きな可能性を秘めた技術と言えるでしょう。
3.イーサの使われ方
情報量が多くアプリ開発ができるイーサリアムの方が、こと実用性に関してはビットコインよりも多くの人達に利用されています。
そこで、スマートコントラクトをより多くの企業に活用してもらうことを目的とし、2017年2月にイーサリアムの企業連盟が発足しました。
加盟している企業はマイクロソフト、トヨタ自動車KDDIなど名だたる大手が参加しており、今後の展開が楽しみとなっております。
実際にどのようにイーサリアムが各企業に活用されているか、説明をしていきます。
トヨタは、主にイーサリアムの技術を情報の管理とリース契約を効率的におこなうことに役立てようとしています。
トヨタは自動運転が行える車の開発をしていますが、その際に必要となる情報を集めるのをイーサリアムのブロックチェーン上で行なうことで、データの改ざんを防ぎ、早く正確なデータを収集するのを効率よく行えます。
複雑でトラブルも多くあるリース契約を車のダッシュボートにある画面から、紙を使うことなく、簡単におこなえるようにしようとしています。契約だけでなく保険の決定や決済も含まれます。
自動化が進んでいる車社会ですがブロックチェーンが本格的に利用されると現段階では考えられないような新しいシステムが誕生する期待がもてます。
KDDIは、KDDI総合研究所、クーガーと合同で、非中央集権システムのDAPPS(非中央集権型アプリケーション)とスマートコントラクトを実装しているイーサリアムを活用することとしています。
互いに連携して行うことで、さらなる利便性を向上させることを目的としています。
そこでは、スマートコントラクトを事業で行う場合の技術的な問題の検証とスマートコントラクトがもたらす恩恵について研究をしています。
保険会社のアクサ(AXA)もイーサリアムのスマートコントラクトを活用しています。
アクサはヨーロッパ在住の方のみではありますが“フィジー(Fizzy)”というサービス名で2017年9月に発表し、既に実用化しています。
フィジーは飛行機が2時間以上遅延した場合は、どんな理由であっても保険料が支払われるという保険サービスとなります。
スマートコントラクトにより、保険の加入から支払い、遅延した場合は着陸後すぐに連絡がはいる為、書面を使った申請や電話対応などの必要なく契約が実行されます。
面倒な保険契約手続きも手間がかからず保証を受けられる画期的なサービスが誕生しました。
一方で、
企業が資金調達を目的とするICOのトークンにイーサリアムが使われることが多いです。
ICOでは、企業や個人が立ち上げた仮想通貨の新規プロジェクトを協賛するための代用通貨の役割を果すトークンを購入することになりますが、そのトークンにイーサ(イーサリアムの通貨)を使用します。
トークンを購入した投資家達は見返りに企業の様々な恩恵を受けることができる仕組みになっています。
新規公開株式と似た側面があるのがICOです。
ICOは規制が緩く誰でも行えるので詐欺案件も多くあります。
そのICOが詐欺ではないかの判断材料の1つに、ヴィタリック ブテリン氏のような身元のしっかりとした著名人が行っているかということもあります。
更にはブロックチェーンを使ったゲーム内の代用通貨としてもイーサリアムが使用されています。
イーサリアムゲームを有名にさせた「クリプトキティ」や育成ゲームの「くリプ豚」を始め、今ではF1や本格的なカードゲームなど様々なジャンルのゲームが開発中です。
どれだけ課金をしてもゲーム内での名誉しか得られなかった従来のゲームでしたが、ブロックチェーンゲームではお金儲けもできてしまう旨みがあるため注目を集めています。
様々な事柄に応用できそうなスマートコントラクト、これからの生活を激変させてしまう可能性もあります。
こんなシステムを考えだしたヴィタリック ブテリン氏、彼が天才と称されるのも納得です。
イーサリアムが発展していき、私たちの生活がより豊かに便利になっていくことに期待しましょう。