ここ最近、海外の銀行口座を作るのが難しくなりましたね。
以前は、香港やシンガポールへの海外旅行も兼ねて、HSBC銀行の口座を開設しに行ったり、代理店に依頼して自分の代わりに口座を作成したりするなど、一時期流行った時期もありました。
今では、世界的な傾向として、国外非居住者の口座開設が難しくなってきています。
その背景として、各国の大手銀行がマネーロンダリング(資金洗浄)や犯罪資金の送金に利用されてしまい、経済制裁を受けた苦い経験があるからです。
また、2016年のパナマ文書流出事件を覚えている方も多いでしょう。
タックスヘイブン(租税回避地)を利用した金融取引等が明るみに出て、世界的な大手の銀行にも飛び火して批判にさらされました。
以来、世界的な動きとして、銀行側は、口座開設にあたっての身分証明確認を厳格化し、使途目的の不明確な口座開設に対して許可基準を厳しくするなど、特に、非居住者に対する引き締めを促進しました。
一方で、リーマン・ショックや欧州債務危機などの世界的な金融危機がおこり、各国の財政が逼迫。
これをきっかけに、特に税務的な面において、互いに金融機関の情報を交換するようになりました。
それが経済協力開発機構(OECD)によるCRS(共通報告基準)です。
例えば、自国の金融機関が所有している他の加盟国居住者の口座情報、氏名、住所、残高等の情報を共有します。
こうした世界的な流れがあることから、あなたが、日本国内の銀行口座において、海外への送金をおこなう、海外からの送金を受け取る際、一定額を超えると銀行から一旦、停止されたり、色々と質問責めにあったりすることになります。
「このお金は何の目的ですか?」
「何に使うのですか? どういう経緯のお金ですか?」
「どうしてここにこのお金があるのですか?」
しつこく聞かれることも。
これは、冒頭で述べたように、マネーロンダリング等の観点からのチェックですので、やむを得ないところではありますが、自分のお金なのに自由に移動させることもできないのは、本当に不便ですし、不満が残るところです。
特に日本からお金を海外に移動させることに関しては、国はかなり神経質になっているのでないでしょうか。
そこで…
次世代型オンライン銀行の発足
もっと活用しやすい銀行ってないものだろうか?
もちろん、悪いことを企てる輩もいるので、身分証明のための審査や監査は必要です。
しかし、ほとんどの多くは善良な市民です。
そうした善良な市民のユーザー目線での使い勝手の良い銀行を作ろう!
ということで立ち上がったのが、暗号通貨の開発を手がけるヒュージョン パートナーズ社です。
彼らは、ユーロ、ドルなどの法定通貨の預金、そして、海外送金をより便利にすることはもちろんのこと、暗号通貨との交換も迅速、容易にできる環境を提供することを目的として、オンラインの銀行を立ち上げる計画です。
スイスで銀行ライセンスを取得し、『FUSION BANK』として開業する予定です。(その他にもスウェーデン、シンガポールにおいても銀行ライセンスを取得済み)
まずは、ヨーロッパを中心に拡大を図る計画で、エジソン財団のバックアップも得ているそうです。
詳細は、別記事にて紹介しています。
さらには、暗号通貨を所有している人にとってもメリットがあります。
すでに暗号通貨を所有している方が、暗号通貨を法定通貨に交換しようとした場合、特に、金額が大きいと、暗号通貨交換所から国内銀行に移動した途端、銀行から問い合わせが来て、根掘り葉掘り聞かれることがあります。
正直なところ煩わしいですよね…
FUSION BANK では、最初の身分証明確認はしっかりとおこないますが、善良な市民であることが確認できれば、その後は、うるさいことは言わない方針とのこと。
この口座を持つことで、法定通貨での預金、送金はもちろん、暗号通貨の売買(交換)も可能ですし、暗号通貨での送金もできます。
より自由度の高い銀行口座を提供したいとの理念で設立された次世代型銀行です。
なお、法定通貨と暗号通貨の両方を扱うことから「ハイブリッドバンク」とも呼ばれています。
FUSION BANK計画の状況
さて、このFUSION BANK設立計画ですが、現在、どういう状況なのか?
関係者からお話を聞くことができましたので、その内容をご紹介します。
FUSION BANKの概要
スイスにて銀行ライセンスを取得。
新規にオンラインバンク(インターネット取引に特化した銀行)を設立
メインの基軸通貨: ユーロ
その他にも、ドル、スイスフランなど。当面は、日本円は含まれず。
それぞれの通貨ごとにあなた自身の銀行アカウントが与えられる。
VISA/デビット カード付き
預金額の範囲内で決済可能
ATMでの現金引き出し可能(手数料、為替損益)
口座開設の条件: 預金最低金額 10万円相当以上
法定通貨、暗号通貨どちらでもOK
口座開設の申込み開始時期: 2019年 8月1日くらい
口座開設にあたっての必要書類
個人の身分証明としてパスポート、必要公共料金控えなどFUSION BANKのKYC(身分証明審査)が要求する資料提出が必要。法人口座も同様に、登記簿謄本やオフィスの所在証明など。(英文にする必要性もあり)
口座へのログイン・操作: 携帯上での専用アプリを使用
ワンタイムパスワードでの対応。ハードウェアのデバイスはなし。
暗号通貨を担保にした法定通貨融資
現在、検討中(口座開設以降になる模様)
口座開設にあたっての日本でのサポート
代理店などを設置するかどうかは検討中。
なお、銀行業をやりたい法人に対しては、無料でオンラインバンク システムを提供することも検討されている。
オンラインバンクのメリット
FUSION BANK口座を持つと、どんないいことがあるのか?
国境を超えたグローバルな銀行口座を持つことができる。
法定通貨の送金と受け取り
暗号通貨の送金と受け取り(手数料が安い!)
ドルなどの法定通貨を扱うだけでなく、主要な暗号通貨も売買できる。
そして、それらの交換も自由におこなえる。
すべてオンラインバンク内で処理が完結する。
暗号通貨の移動が容易
一般的に暗号通貨取引で利益を得た場合、取引所から自分の銀行口座に移動させる際、金額が大きいと銀行側が受け取らないケース(特に海外で見られる。マネーロンダリングを疑われる等。)もあるが、それが回避できる。
日本人でも口座開設可能
直接、「日本円」での取引はできないが、ユーロ、ドルなどの法定通貨、あるいは、ビットコインなどの暗号通貨に交換して対応可能。
オンラインバンクのデメリット
すべて英語での対応となる。
スイスでの規制法令に従う。
万一、オンラインバンク運営に対して、何らかのストップがかかった場合、スウェーデン、シンガポールでも銀行ライセンスを取得しているため、そちらのオンラインバンクに切り替えて業務を継続する。
口座を維持する上での注意点あり。
取引き(送金や振込など)が3ヶ月以上ない状態が続くとロックされます。
さらに1年半以上、放置すると口座が凍結されます。
最後に
今回のFUSION BANK立上げに関しては、「マイナビ ニュース」でも取り上げられ、さらには、「グノシー」でも紹介されたことにより、大きな話題となりました。
注目されている方も多いようです。
いよいよ8月よりFUSION BANK口座開設の募集が開始される予定となっています。
引き続き、動向をチェックしていきます。情報を入手しましたら、こちらでご紹介したいと思います。
【参考】
→ マイナビ ニュース記事