仮想通貨のブロックチェーン技術を活用した選挙の不正防止策とは?

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ブロックチェーンとは?

ブロックチェーンとは・・・

仮想通貨の”ビットコイン”や”イーサリアム”などで活用されている、売買等の取り引きデータを保存・管理するための技術で、以下の特徴があります。

① データの改ざんが極めて困難
② 特定の管理者に頼らず、複数のネットワーク参加者で構築が可能
③ システムの停止が起きづらい
④ データの追跡が容易
⑤ 人の手を介さず自動で動作させることも可能

※ブロックチェーンでは、管理するデータは”ブロック”と呼ばれる単位で管理され、各ブロックが鎖(チェーン)のように繋がっています。
各ブロックには特殊な番号が割り当てられており、仮に、あるブロックに管理されているデータを改ざんすると、前後のブロックに含まれる特殊な数値(ハッシュ値)が変わるように設計されており、改ざんが検出しやすくなっています。
詳細はこちらを参照ください。→ 『今さら聞けない仮想通貨 とは?分かりやすく 解説』

このような特徴を持つブロックチェーン技術を活用して、これまでなかなか打つ手がなかった選挙の開票作業の不正に対して、防止を図る対策が検討されています。

選挙の不正防止に対してブロックチェーンが具体的にどのように活用されていくのか、現在の選挙の問題点と共に紐解いていきましょう。

選挙での開票における不正問題とは

日本においては、約130年の歴史を持つ選挙ですが、実は、これまでも何度か、開票作業での不正がおこなわれているとの指摘がありました。

選挙では、選挙管理委員会という開票時の不正を防ぐための組織が設置されているのですが、その組織自体が開票時に不正を働くことがある、というのです。

具体的にいうと、開票の際に既に集計したはずの票を再度集計する『二重集計』や無効票を少なく計上することを指します。

実際に、「高松市参議院選挙で白票水増し事件」や「千葉市議選での開票不正」などの事件が起きています。

なぜこの様な不正が起きてしまうのかというと、選挙管理委員会という”閉じた組織”に依存してしまっていることが原因と考えられます。

例えば、高松市の参議院選挙の白票水増し事件では、投票数が合わないというミスを選挙管理委員会が隠蔽しようとして起きました。

参考:【選挙事件ファイル③】不正開票事件の背景 | NHK選挙WEB

このような、人が介在した馴れ合いによる不正を排除しようと、選挙へのブロックチェーンの適用可能性について検討がなされています。

不正に対するブロックチェーン技術の適用

選挙の開票作業という極めて重要な手続きにおいて、人の手が介在するやり方ではなく、改ざん困難とされるブロックチェーン技術を用いた方法が、セキュリティの確保の観点から適していると考えられるようになってきました。

前段でも記載した通り、選挙における不正は、選挙管理委員というごく一部のメンバーによる中央集権的な組織に集計や開票の作業を依存していることが、原因の1つと考えられます。

くり返しになりますが、ブロックチェーンには「データの追跡が容易」「データの改ざんが極めて困難」、更には「特定の管理者に依存せず、複数のネットワーク参加者で活用が可能」という特徴があることをご紹介しました。

現在、選挙管理委員会が票の集計をおこなうに際しては、人間故に、どうしても人為的なミスや不正が発生してしまいます。

そのため、クリアすべき課題はあるものの、ブロックチェーンを活用すれば、人間の手作業をを介さずに高いセキュリティを確保した状態で開票が可能になるのではないか、と考えられています。

ブロックチェーン活用にあたっての課題

ブロックチェーン技術が選挙に適用されれば、不正を防止できる可能性があると説明しましたが、導入にあたっての課題もあります。

それは下記の2つです。

① データ問題
② 51%攻撃

選挙への適用への課題① | ブロックチェーンのデータ問題とは?

ブロックチェーンには、管理するデータが膨大になることによって起こるデータスケールの問題があります。

ブロックチェーンでは、通常ネットワークに参加しているユーザー全員が、同じデータを持つことによって高い改ざん耐性や障害耐性(システムの停止が起きづらいことを指す)を実現しています。

ブロックチェーンで管理すべき投票などのデータが増加するのに比例し、ユーザーが管理しなければならないデータ量も増加します。
そうなってくると、膨大なデータを管理できないネットワークユーザーも増加してしまうのです。

その結果、膨大なデータを管理できる少数のユーザーがブロックチェーンを運用する形となり、改ざん耐性や障害耐性が失われてしまう懸念があるのです。

選挙への適用への課題② | ブロックチェーンの51%攻撃とは?

ここでは専門的な用語を使用せずにご説明しますが、51%攻撃(問題)とは、悪意のあるネットワークユーザーが、全体の51%以上(正確には一定以上)の計算処理能力を有することでネットワークをコントロールできるようになる問題のことです。

先ほどデータは、ブロックと呼ばれる単位ごとに管理されると説明しましたが、データを管理するためには、マイニングという計算処理を行う必要があります。

そのため、仮に全体の51%以上の計算処理能力を有するユーザーが存在してしまうと、不正なデータをブロックで管理したり、直近に管理したデータの改ざんが可能になってしまうのです。

もし51%を有するユーザーが存在してしまうと、不正な票をブロックで管理したり直近に管理した票の改ざんができてしまうのです。

なお仮想通貨ビットコインでは、2013年に『Ghash.io』というマイニングをする団体の計算処理能力が、全体の一定以上の計算処理能力の過半数を超えそうになり、51%問題が顕在化しました。

《参考》ブロックチェーン技術の選挙における活用事例

これまでは、選挙の開票の不正に対するブロックチェーンの適用方法を見てきましたが、国内では、株式会社VOTE FORがブロックチェーンを活用したオンライン投票システムを提供しました。

参考:つくば市 HP/PDF資料 『国内初!ブロックチェーンとマイナンバーカード を活用したネット投票を実施します!』

つくば市の資料にも記載がありますが、今回のブロックチェーンの活用の背景には、投票データの改ざんや消失を防止を実証することがあるようです。

また海外にもオーストラリアのfluxやアメリカのVoatzなどのオンライン投票サービスがあルため、今後はブロックチェーン技術の選挙による活用が促進されるかもしれません。

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【参考】まもなく海外銀行口座開設の受付