仮想通貨について語る際に、問題点としてよく挙げられるのが、“マネーロンダリング”です。
マネーロンダリングとは、日本語で「資金洗浄」という意味になりますが、どのようにしてお金を移動させて“洗浄”するのでしょうか?
詐欺や不正取引、横領といった犯罪によって手に入れた不当なお金をいくつもの経路を得て、正当な取引、手段で手に入れたお金に見せかけることを“マネーロンダリング”と呼んでいます。
いくつもの手順を踏むことで汚れを落とし、きれいにになったように見せ掛ける洗浄の例えどおりですね。
マネーロンダリングの手法もいろいろとあります。
複数の口座に入出金
繰り返し資金の出所を曖昧にしたり、ギャンブルで儲けたようにみせかける、グループに分けて商品を購入した後に売却をして利益を得るなど様々な方法でマネーロンダリングが行われています。
一向になくならない振り込め詐欺にもマネーロンダリングの手法が利用されています。
「私がこの商品を受け取れないから、代わりに受け取ってくれない?少しお小遣いあげるから」などのお願いをされて、それを引き受けてしまうと、マネーロンダリングの片棒を担ぐ恐れがあるかもしれません。
ご注意ください。
マネーロンダリングは、ビットコインでも
これだけ聞くと、そうなんだという内容なのですが、ビットコインは、ブロックチェーンと呼ばれる取引きの記録が確実に残され、その記録も公開され、参加者全員によって承認されるため、理論上不正ができないとされています。
しかし、ビットコインの流出は起きてしまっています。ただし、ブロックチェーン技術の問題ではなく、たんに取引所のセキュリティが甘かったということです。
ビットコインの流出事件にコインチェックのネム流出事件があります。
コインチェックのテレビCMでタレントの出川哲郎氏が出演していたことから、その頃に仮想通貨の取引を始めた人達のことを出川世代と呼ばれていました。
たくさんの通貨を取り扱い、アプリの使いやすさや様々なサービスが好評で、芸能人もコインチェックに投資するなど、とても繁盛していました。
しかし、そんな繁栄を誇っていたコインチェックですが、2015年1月に取引所のセキュリティ対策の甘さにより、仮想通貨のネムが不正アクセスにより通貨流出。
被害総額は580億円と甚大な被害をだしてしまいました。
ネムを不正流出させた犯人は、違う口座に通貨を移したり、他の通貨に交換しているようです。
仮想通貨を現金化しようとしたことまでは分かっています。
コインチェックは、その後マネックスグループの傘下に入り、みなし業者から、金融庁に仮想通貨交換業者の登録をすませ新生コインチェックとして操業しています。
仮想通貨の流出事件に、いち早く取引のマイナス手数料の導入やICOのコムサの展開、マネパカード、仮想通貨の積立など様々な事業展開をし、一味違う取引所と評判だったZaifも不正流出がありました。
ビットコイン、ビットコインキャッシュ、モナコイン合わせて67億円もの被害を出してしまいました。
会社の資産だけでは盗まれた顧客の資産を弁償することができないため、フィスコグループに事業譲渡をしました。
フィスコはフィスコ取引所とZaifの取引所と2つの取引所を受けもっている状態ですが2019年度に2つを統合すると発表しています。
信頼を取り戻す為にも、停止しているシステムの再開や今までよりも、安全で便利なシステムの構築を出来るだけ早く取り組んでほしいものです。
では、ここで、
どのようにして、ビットコインのマネーロンダリングが行われたのかをご紹介します。
ビットコインによるマネーロンダリングの手口とは?
ビットコインを使ったマネーロンダリングの手法も、法定通貨と同様に多くのビットコインを細かく分けて、複数のウォレットを介して、移動させることにより、資金の流れを分かりにくくしています。
ウォレットに移動する際に移動したビットコインを別の仮想通貨に交換することでマネーロンダリングをさらに複雑にしてしまいます。
身分確認の必要がない海外取引所などは特にマネーロンダリングが行いやすいため、問題視されています。
更に自分で、プログラムコードを書きウォレットを作れば、取引の記録は、自分のサーバーに残るだけなので、取引所から警察に取引の記録が渡ることもありません。
そのウオレットを仮想通貨が欲しい人に売れば現金も手に入ってしまいます。
闇サイト、ダークウェブと呼ばれる一般には公開されていないネット上を経由して資金を洗浄をする方法もあります。
このように様々な方法でマネーロンダリングがされています。
マネーロンダリングの観点からのビットコインの課題とは?
ビットコインの匿名性を利用してマネーロンダリングが行われていることに対して、それらが放置されているわけではありません。。
マネーロンダリングを防ぐ為のアンチマネーロンダリングの方法が研究されています。
一方で、あなた自身がマネーロンダリングに巻き込まれないための注意も必要です。
疑わしい取引所や販売所を利用しない
全てではありませんが身元の確認をしない海外の取引所は注意が必要です。
身元をしっかりと確認していないのは、マネーロンダリングに加担してしまう恐れがあるからです。
対策として、身元の確認をしっかりとおこなう国内の販売所、取引所を利用するのが良いですね。
リスクを減らすことができます。
ウォレットの管理はしっかりする
ハッキングされないために、ウォレットを使うのは良い事なのですが、そのウォレットのパスワードが簡単に推測される、同じパスワードの使い回しでは、アカウントを乗っ取られたり、悪用されてしまいます。
パスワードは推測されにくいものにして、定期的に変更し、使い回しは避けましょう。
草コインの購入も慎重に
時価総額が小さく、投機性が高い仮想通貨を”草コイン”と呼んでいますが、高く値段がつく前の段階で投資して大きな利益を稼ぐのが醍醐味とされています。
しかし、この草コインの購入も注意が必要です。
詐欺を目的とした草コインもまだまだあります。
信頼のおける情報を集めて分析をし、マネーロンダリングの不正に巻き込まれないようにしましょう。
まとめ
幸いにしてまだ、日本では他国に比べてマネーロンダリングをしにくい状況です。
仮想通貨から仮想通貨の交換を行なった際、仮想通貨で何かを購入する、仮想通貨通貨間の送金を行なう、これらの事柄で税金が発生することから、他国よりはマネーロンダリングがおこなわれにくいということです。
それでも、マネーロンダリングではないか?と疑わしい取引の報告が40万件近くなされています。
仮想通貨においては国籍に関係なく自由に行き来できるのが現状です。
それを悪用してマネーロンダリングをしているものと考えられます。
しかし、いずれは法整備が整い、他国との連携で改善されていくものと思われます。
マネーロンダリングをおこなわないのはもちろんですが、マネーロンダリングに巻き込まれないように注意をしなくてはいけません。
マネーロンダリングに加担したとみなされ、ダークウェブの犯罪サイトとの関わりを疑われたくありませんからね。
早くマネーロンダリングが無くなり安心して仮想通貨の取り引きができる世の中なってほしいものですね。